ヘレン・ケラーが障害児の安楽死を支持していたことは、日本ではほとんど知られていない。(私も半年くらい前に英語で検索していて知った)
1915年にヘレン・ケラーは障害児を安楽死させることを「人間の庭から雑草を引き抜くこと」と例えた。また精神薄弱者を「潜在的な犯罪者」だとした。どの子供が安楽死の対象となるかは医師団が決めればいいと提案し、子供が可哀そうだと思う人は(自費で)子供を引き取って育てればいいとした。

ケラー自身も障害者じゃないかと思うだろうが、このことの整合性については後に触れるとして、まずケラーが障害児の安楽死を支持するコメントを出すきっかけとなったボリンジャー事件とそれに対するケラーのコメントを見てみる。

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・優生思想という言葉を「弱者排除」「人の価値の選別」のような意味で使うのは、日本だけのガラパゴス用法。こういう意味での用法は1970年代以降に障害者団体(とそれに影響された一部のアカデミズム)で使われていた程度だったが、2016年の相模原障害者殺害事件の後に爆発的に使われるようになった。

自分の主張を通すために、ナチスを想起させて相手に悪のレッテル貼りをするために使われているのであって、こういう使い方は止めた方がいい…という記事です。

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一つ前の記事で、栗城の登山家としての問題点について書いたが、この記事では主にその他のことについて記す。初の評伝である河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(集英社、2020/11/26発売)を読んだことをきっかけ書いたものだが、本の感想というより、これまでの私の栗城ウォッチをまとめたもの。

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河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(集英社、2020/11/26発売)を読んだ。あまり知られていない、栗城がテレビに登場し始める初期の頃に取材していたテレビディレクターが書いた本である。著者は2009年の最初のエベレストの後に一旦取材を止め、死後に取材を再開する。私は2010年の2度目のエベレストのときに栗城を知り、それから栗城ウォッチを始めたので、著者とは見ていた期間がずれる。この記事は本の感想ではなく、この機会にこれまでの観察をまとめたもの。あれこれ書いていたらずいぶん長くなってしまったので目次をつけておく。

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ゲノム編集技術の開発により、知能を向上させたデザイナーベビーが現実味を帯びてきたが、倫理的な問題を差し置いたとしても、現状では知能に関連する遺伝子は一部しか特定されておらず、ゲノム編集技術も未熟なので、実行できる段階にはない。

しかし遺伝子工学を用いなくとも人類の知能を大幅に向上させる方法は存在する。それは頭のいい人を選抜して子供を作らせ、さらにその子供の中から頭のいい人を選抜して子供を作らせ…ということを繰り返せばいい*1。要するに家畜や植物の育種と同じようなやり方をすれば、間違いなく知能は向上する。

もちろんこんなことは倫理的に許されないのだが、実際にやってみたらどうなるのかは、遺伝学や育種学の知見から計算することができる。

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『IQは金で買えるのか』(朝日新聞出版)で紹介されていたが、ミシガン州立大学のスティーブン・シュー教授によると、知能に関わる理想的な遺伝子変異の組み合わせが実現すれば、IQは1000以上になるという。

シュー教授が書いた該当記事はこれ(より詳しくはこの論文にある)。確認したところ遺伝学の教科書にもある標準的な理論で、確かにIQは計算上1000以上になる。
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優性/劣性(顕性/潜性)は中学の遺伝の授業でまず最初に教えられるが、実際に当てはまる例は少ない。ほとんどの形質は複数の遺伝子が絡んでいて、単一の遺伝子では決まらないからだ。ヒトの場合だと、キッチリと当てはまるのはハンチントン病などの単一遺伝子疾患ばかりになる。病気を除いた一般的な目に見える形質だと、耳垢が湿っているか、乾いているかを決めるABCC11遺伝子くらいだろうか。あとは不完全優性だがアルコールの分解能力を決めるALDH2遺伝子がある。ヨーロッパ人に稀に見られるかなり強めのそばかすは、MC1R遺伝子の変異体を持っていると発生する(日本人にはあまり関係ない)。

ただ学校でこれ以外にヒトの優性/劣性形質を教えられることも多いらしい。よくあるのは、二重まぶた/一重まぶた、耳たぶが福耳/平耳、富士額/平額、親指が反る/反らない、つむじが右巻き/左巻き、舌を巻ける/巻けない、えくぼがある/ない、腕を組む時に右腕が上/左腕が上、など。

下は高校向けの資料集『サイエンスビュー 生物総合資料 四訂版』(2019年)
サイエンスビュー 生物総合資料 四訂版 優性劣性
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いつの頃からかGoogleで「エベレスト」を検索すると、アマダブラムの画像が大量に出てくるようになった。主にコピペサイトが間違いを広めているのだが、産経、レッドブル、ナショナルジオグラフィックのようなまともなサイトも間違えている。

下はGoogleで「エベレスト」を画像検索した結果で、上位11つのうち6つがアマダブラムの写真だ(記事執筆時点)。赤い矢印をつけているのがアマダブラム。

エベレストで検索すると2

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